「この薬は第何類?」
「なぜこの薬は薬剤師しか販売できないの?」
登録販売者として働いていると、医薬品の分類について質問されることがよくありますよね。
医薬品の分類は、お客様の安全を守るために法律で決められた重要なルールです。
正しく理解していないと、適切な販売や説明ができないだけでなく、法令違反につながる可能性もあります。
今回は、医薬品分類の基本から実務で役立つポイントまで、登録販売者として必ず知っておくべき知識を分かりやすくお伝えします。
複雑に思える分類も、仕組みを理解すれば意外にシンプルなんですよ。
この記事を読めば、明日からの接客がもっと自信を持って行えるようになるはずです。
医薬品分類の基本的な考え方

医薬品の分類は、主に「安全性のリスク」と「専門的な判断の必要性」に基づいて決められています。
日本の医薬品は、大きく分けて「医療用医薬品」と「一般用医薬品」の2つに分類されます。
私たち登録販売者が主に扱うのは一般用医薬品の方ですね。
一般用医薬品は、さらに「要指導医薬品」と「一般用医薬品」に分かれ、一般用医薬品は第1類から第3類まで3つのリスク区分に分類されています。
この分類システムの目的は、お客様が安全に薬を使えるようにすることです。
リスクが高い薬ほど専門的な説明が必要で、販売できる人も限られているわけです。
まるで車の運転免許のように、薬の危険度に応じて販売資格も段階的に設定されているんですね。
要指導医薬品:薬剤師だけが販売できる薬
要指導医薬品は、一般用医薬品の中で最もリスクが高く、薬剤師でなければ販売できない医薬品です。
この分類に含まれるのは、主に医療用から一般用に移行したばかりの薬(スイッチOTC)や、劇薬に指定されている成分を含む薬です。
具体的には、ロキソニンSやガスター10などが代表例です。
これらの薬は効果が高い反面、副作用のリスクも相応にあるため、薬剤師による専門的な指導が必要とされています。
要指導医薬品の販売では、必ず薬剤師が対面で情報提供を行い、お客様の状態を確認してから販売しなければなりません。
インターネット販売も禁止されているんです。
登録販売者として大切なのは、要指導医薬品の相談を受けたときには、必ず薬剤師に引き継ぐということです。
「この薬は薬剤師による説明が必要です」と丁寧にご案内しましょう。
第1類医薬品:慎重な対応が求められる薬
第1類医薬品は、副作用などにより日常生活に支障をきたす程度の健康被害が生じるおそれがある医薬品です。
この分類には、H2ブロッカーを含む胃腸薬や一部の毛髪用薬、禁煙補助薬などが含まれています。ガスターやリアップなどが有名ですね。
第1類医薬品も薬剤師でなければ販売できません。
ただし、要指導医薬品と違って、インターネット販売は可能です。
販売時には、薬剤師による書面を用いた情報提供が義務付けられています。
お客様の体調や他の薬の服用状況などを確認して、適切な使用方法を説明する必要があるんです。
登録販売者の役割としては、第1類医薬品について相談を受けた場合、薬剤師につなぐことが重要です。
商品の場所を案内することはできますが、効果や副作用について詳しく説明することはできません。
第2類医薬品:登録販売者が販売できる主力商品

第2類医薬品は、副作用などにより日常生活に支障をきたす程度の健康被害が生じるおそれがある医薬品です。
第1類よりもリスクは低いとされています。
登録販売者が販売できる医薬品の中では、最もリスクが高い分類になります。
風邪薬、解熱鎮痛薬、鼻炎薬など、薬局でよく売れる商品の多くがこの分類に含まれています。
第2類医薬品の中でも、特に注意が必要な成分を含むものは「指定第2類医薬品」として区別されています。
これらの商品には、パッケージに「2」の数字が囲み文字で表示されているので、見分けることができます。
販売時には、登録販売者による情報提供を行う努力義務があります。
お客様の症状や体調を聞いて、適切な商品選択をサポートすることが求められているんです。
指定第2類医薬品については、薬剤師や登録販売者がいないときには、お客様が直接手に取れない場所(カウンター内など)に陳列する必要があります。
第3類医薬品:比較的安全性の高い薬
第3類医薬品は、第1類・第2類以外の一般用医薬品で、副作用などにより身体の変調・不調が起こるおそれはあるものの、日常生活に支障をきたす程度ではない医薬品です。
ビタミン剤や整腸薬、一部の外用薬などが該当します。
比較的安全性が高く、セルフメディケーションに適した医薬品といえるでしょう。
第3類医薬品は登録販売者が販売でき、情報提供についても法的な義務はありません。
ただし、お客様から相談があった場合には、適切な情報提供を行うことが期待されています。
陳列についても特別な制限はなく、お客様が自由に手に取れる場所に置くことができます。
ただし、医薬品であることは明確に表示する必要があります。
第3類医薬品だからといって安全性に問題がないわけではありません。
用法・用量を守って使用することの大切さを、お客様にしっかりと伝えましょう。
医薬部外品との違いを理解しよう
医薬品と混同しやすいのが医薬部外品です。
両者の違いを正しく理解しておくことも、登録販売者には重要です。
医薬部外品は、医薬品よりも作用が穏やかで、予防効果や衛生的な目的で使われるものです。
薬用化粧品や薬用歯磨き、殺虫剤などが該当します。
医薬部外品には「薬用」という表示がされることが多く、「効能・効果」ではなく「効果・効能」と表示されています。
また、医薬品のような分類(第1類~第3類)はありません。
販売については、特別な資格は必要なく、一般の販売員でも扱うことができます。
ただし、お客様が医薬品と混同しないよう、適切な説明を心がけることが大切ですね。
登録販売者として注意したいのは、医薬部外品について医薬品のような効果があると誤解を与える説明をしないことです。
あくまで予防や衛生目的の商品であることを明確にしましょう。
分類表示の見方と店舗での陳列ルール
医薬品の分類は、商品パッケージに必ず表示されています。正しい見方を覚えておきましょう。
- 要指導医薬品:「要指導医薬品」の文字表示
- 第1類医薬品:「第1類医薬品」の文字表示
- 第2類医薬品:「第2類医薬品」の文字表示
- 指定第2類医薬品:囲み文字の「2」マーク
- 第3類医薬品:「第3類医薬品」の文字表示
店舗での陳列についても、分類ごとにルールが決まっています。
要指導医薬品と第1類医薬品は、お客様が直接手に取れない場所(カウンター内など)に陳列する必要があります。指定第2類医薬品も、薬剤師や登録販売者がいないときは同様です。
第2類・第3類医薬品は、お客様が手に取れる場所に陳列できますが、分類ごとにまとめて陳列し、分類が分かるような表示をしなければなりません。
これらのルールは、お客様の安全を守るためのものです。面倒に感じることもあるかもしれませんが、適切な陳列を心がけましょう。
実務で役立つ分類の覚え方

医薬品分類を覚えるコツは、代表的な商品と関連付けることです。
- 要指導医薬品:ロキソニンS、ガスター10など「新しくOTCになった強い薬」
- 第1類医薬品:リアップ、ガスターなど「効果は高いが注意が必要な薬」
- 第2類医薬品:総合感冒薬、解熱鎮痛薬など「よく使われる一般的な薬」
- 第3類医薬品:ビタミン剤、整腸薬など「比較的安全な薬」
また、成分で覚える方法もあります。
例えば、イブプロフェンやアセトアミノフェンが含まれる解熱鎮痛薬は多くが第2類、ビオフェルミンなど乳酸菌製剤は第3類といった具合です。
日々の業務の中で、商品を手に取るたびに分類を確認する習慣をつけると、自然に覚えられるようになります。
新商品が入荷したときは、必ず分類を確認して、適切な場所に陳列するようにしましょう。
お客様への説明方法とコミュニケーション
医薬品分類について、お客様にどのように説明すればよいでしょうか。
まず大切なのは、分類は薬の安全性に基づいて決められていることを伝えることです。「この薬は第2類医薬品なので、私がご説明できます」といった具合に、なぜその人が説明できるのかも含めて説明すると理解してもらいやすくなります。
要指導医薬品や第1類医薬品について相談された場合は、「こちらの薬は薬剤師による専門的な説明が必要な薬です。
薬剤師がいる時間にお越しいただくか、お電話で確認してからお越しください」と丁寧に案内しましょう。
分類による制限を説明するときは、「法律で決まっているルール」であることを強調すると、お客様も納得しやすくなります。
また、お客様の安全のためのルールであることも併せて説明すると良いでしょう。
時には「なぜそんな面倒なルールがあるの?」と言われることもありますが、薬による健康被害を防ぐための大切な仕組みであることを、具体例を交えて説明してみてください。
まとめ:医薬品分類を正しく理解して安全な販売を
今回は、登録販売者として必須の医薬品分類について詳しく見てきました。
医薬品分類は、単なる法的なルールではありません。お客様の安全を守り、適切な薬物療法をサポートするための重要な仕組みなのです。
要指導医薬品から第3類医薬品まで、それぞれの特徴と販売ルールを正しく理解することで、お客様により良いサービスを提供できるようになります。また、法令を遵守した適切な販売を行うことで、お客様の信頼を得ることにもつながります。
分類表示の見方や陳列ルール、お客様への説明方法など、実務に直結する知識も身につけておきましょう。これらの知識は、日々の接客で必ず役に立ちます。
医薬品分類の理解は、登録販売者としての専門性を示す重要な要素です。継続的な学習を通じて、より信頼される登録販売者を目指していきましょう。お客様の健康と安全を守るという責任ある仕事に、正しい知識で取り組んでいってください。
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